理斗の住まいへ

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理斗の住まいへ

 唯菜の誕生日というイベントが終わったあとも、理斗と唯菜はデートを重ねた。  ふたりはまだ男女の関係にはなっていないが、お互いの住まいに遊びに行ったこともある。そして、お付き合いは半年を越えた。  しかし、唯菜には疑問があった。それは、ふたりの共通の休日である日曜日に会えない日が半分くらいあるということ。  なぜだろうと理斗に聞くと、将棋の勉強をしているという。理斗のとても好きな趣味が将棋で、一時期は将棋道場にも通っていたと話してくれた。  唯菜は一度理斗から将棋を教わったが、難しすぎて興味が持てなかった。  爽やかに晴れ渡った夏の日曜日。空気は乾いていて、穏やかな風が吹いている。降りそそぐ太陽からの光が心地よい。理斗は将棋の勉強で唯菜に会えないと言っていたが、唯菜はまた将棋を教えてもらおうと思っていた。  そのため、理斗がいるかは分からなかったが、理斗の住まいを訪ねてみることにする。電話もせずに行ったら理斗がいたら驚くかもしれないけれど、それもいいかな、と唯菜は思っていた。  理斗の住まいは23区西部の駅から歩いて十分ほどの静かなところにある。理斗の部屋はマンションの一階の角部屋でリビングの窓は大きく、カーテンを開けていれば外から中の様子がうかがえる。  唯菜は玄関に行く前に、リビングに目を向けてみた。外のやわらかな空気を取り入れるためか、窓もカーテンも開いていた。  そこで、唯菜は衝撃の光景を目にした。  とてもカッコ良く、キレイでスタイルも良い女性が理斗と机を挟んで座っている。  唯菜は理斗に気づかれないように、リビングがギリギリ見える、遠くの電柱の陰に移動した。 (まさか、浮気?)  唯菜の鼓動は早くなっていた。理斗と見知らぬ女性を凝視する。どうやら、ふたりで机の上を見て話をしているらしい。  そのとき、机の上で理斗の手が見知らぬ女性の手に触れた。そして、ふたりで親しそうに話をしている。  唯菜は、これ以上見ていられないと思い、怒りと失望を感じながら自宅へ帰った。
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