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いろとフリル
幼少の頃から、母が買ってきてくれる服は可愛らしいピンクや赤色の物ばかりで、どこから見つけてきたのかと思うくらいの『フリル』がたくさん付きすぎていた。普段着るものと違い、お出かけ着というものがあった。お出かけ着とは家族みんなで出かける時やデパートに行く時の限定の服たちだった。 その服たちを着る時は出かける時なので喜んで着ていた。ある時、鏡に写った自分を見ると服ばかり可愛くて、わたしは置いてけぼりになった。
嫌だと伝えても母は「こんなに可愛い服なのに、なんで着ないの? 着ないと出かけられないから早くしなさい」 泣いて伝えても「せっかく買ってきたのに!」と、譲らない。次第に見たくもなくなって押し入れのずっと奥に隠すようになった。
母は子供の頃に可愛い赤い服やピンクの服、フリルがたくさん溢れるように付いた服に憧れていたが着ることが出来なくて、その夢を子供が着ることによって満足していたらしい。その反動なのかわからないが、シンプルな服で色も青や緑や水色を好むようになった。
買ってきてもらって文句を言うのは(けしからん!)かもしれないが、どうにもこうにもつらかったのだから仕方がない……。
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