38人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
会社が倒産することを知って、妻は半狂乱になった。
義父が逮捕、会社は倒産。
彼女を今まで支えてきたもの達が崩壊して、彼女は本当に狂っていった。
―あなたも私を幸せにしてくれなかった!
そう叫んで、妻は家を出て行ってしまった。
妻にとって、「幸せ」とは、誰かが与えてくれるものだった。
豊かな財力と。確かなステータスと。かわいい子ども。
そのどれをも、私は彼女に与えることができなかった。
子は、生まれた。
だがその子どもは、妻の「望んだ」子どもではなかったのだ。
「まあ、ぼちぼちやっていくよ」
だが私は、そう堂前に言った。
強がりでも何でもなく、素直に私はそう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!