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目の前が真っ暗になって、頭がぐわんぐわんと鳴っていた。
それでも、いつものように下を向いて大人しくしているだけで、担任は何事もなかったかのようにHRを進め、クラスメートも何らいつもと変わらぬ体で和やかに朝の時間は過ぎていった。
「おい、大丈夫か?」
僕に声を掛けてくれる人物なんてあいつぐらいしかいなかったのに、この声はあいつの声とは違うと僕は本能的に感じていた。
「おい、斉木、大丈夫なのか?」
何度も声を掛けてくれる人に申し訳なかったが、僕は本当に人と話すことが嫌になってしまい、顔を下に向けたまま
「・・・だ、だいじょうぶ。」
と一言答えるだけにした。
あとは、どんなに声を掛けられても寝たふりをして、顔を上げることはしなかった。
それから、毎日、毎日、僕は学校に行ったけど、次の日にはあいつの机は教室の一番後ろにひっそりと片付けられていて、そのまた次の日には荷物置き場になっていたのを見た時は本当に悲しくなった。
信じたくない気持ちを真っ向から否定されたように思えたから。
僕は毎日、毎日、頑張って学校へ行ったけど、もう以前のようにみんなと明るく話す事が出来なくなっていた。
どんどん表情もなくなったせいで、それまで仲良くしてくれた友人は少しずつ僕と距離を置くようになっていたけど、もうそれでいいかな、って思った。
人と関わり合うのは煩わしい事なんだ。
人が話しかけてくれるのは、しょうがないから、なんだ。
僕に興味がある訳でもないんだ。
ネガティブな感情がどんどん、どんどん積み重なってきたけど、あいつが居なくなった時から、正直どうでもいいって思ってたから、何も構うことはなかった。
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