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明日の天気は
「ねぇママ。あした、はれるかなぁ」
窓辺に吊り下げたたくさんのてるてる坊主越しに夜空を見上げながら、小さな男の子は言った。真っ暗な空をいくら見つめても分からないだろうに、長い間、窓の外を見続ける様子にお母さんが笑いながら答える。
「さぁどうかしらね。てるてる坊主、頑張って作ったんだから、晴れるといいわね。けどね、悠ちゃん。そろそろ寝ないと、運動会ができても眠くて途中で寝ちゃうかもしれないわよ」
男の子は言われてはっとなり、慌てて立ち上がる。
「ぼく、もうねる! おやすみなさい、パパ、ママ!」
バタバタと部屋を出る直前、急ブレーキをかけて窓辺に戻り、てるてる坊主を見上げて手を合わせた。
「おねがい、てるてるぼうずさん。あした、あめにしないでね。ぼく、うんどうかいのれんしゅう、すっごくがんばったんだよ」
おねがいします、ともう一度丁寧に言ってから手を振り、パタパタと足音を立てて部屋を出ていった。
男の子が去ったあとで、お父さんとお母さんが笑いながら話している。
明日の天気予報は微妙なところだとか、幼稚園で初めての運動会だからすごく張り切ってたのにとか、話してる。
ぼくはそれを聞きながら、強く願う。どうかどうか、明日、晴れますように──。
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