1人が本棚に入れています
本棚に追加
神さまの元へ
神さまはお空のうんと高いところにいらっしゃる。早く行かないと、明日に間に合わない。ぼくは急ぐ。だけど上手くバランスをとれないこの体、足の代わりのひらひらのところがくしゃくしゃのこの体では、まっすぐに進むことすらなかなか難しい。
だけどぼくは急ぐ。悠くんのために。
──待ってて、悠くん。明日は晴れるからね──
真っ暗な夜空をどんどん進み、時折強い風に吹かれて飛ばされそうになりながらも進んでいくうちに、少しずつ雲が近くなってきた。
──もう少し、もう少し……──
雲の中は暗くて寒くて、とても怖い。前が見えないから正しい方に進めているのかも分からない。不安に怖じ気づき、ほんの一瞬、このまま夜が明けてしまえばいいのにと思ってしまう。そうすれば自然とぼくはぼくの体に戻されるから。
……だけど──。
『おねがい、てるてるぼうずさん』
悠くんの声が頭に響く。歪な形のぼくに、必死に願いを託してくれたぼくの大切な悠くん。
──ううん、きっともう少しだよ。よし、行こう──
止まりかけた体をもう一度、上へ上へと向かわせる。よたよたとふらつきながら、それでもぼくは進むんだ。
実際には『もう少し』どころじゃなかったけれど、止まらずに進み続けたぼくは何とか雲を抜け、明るくて真っ白な世界にたどり着いた。
だけどここでゴールじゃない。まだやることはある。疲れてさらによれよれになった体をうんせっと動かし、神さまを探してまた進む。
雲の上の世界は不思議なくらい静かで、白い色のほかは存在していないというように何もない。だけどきっとここに神さまはいらっしゃるんだ。見付けてお願いしなきゃ、明日、天気にしてくださいって。
疲れてふらふらと進むぼくを、気を抜けば雲の下に落っこちてしまいそうなぼくを、奮い立たせてくれたのは悠くんの声だった。
『できたぁ。ねぇ、ぼくのてるてるぼうずさん。あした、いいおてんきにしてね』
ぼくが生まれて初めて聞いた声。ちっちゃくて柔らかい手の温もり。ぼくを見てにっこり笑っている悠くん。
そのどれもが、ぼくに力を与えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!