願い

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「ごめんなさい、神さま。ぼく、やっぱり明日は晴れがいい。お願いします、神さま」    頭を下げたっきり動かずにいるぼくの上に、小さなため息が聞こえてきた。それはふわりと笑みのこもった、優しいため息だった。   「……ごく稀に、あなたのような子が現れるわ。頑固で諦めの心を持たない、可愛い子。ひとつだけ、あなたの願いを叶える方法があります。あなたが雨となり光となる輪廻を諦めるのなら、その力を使って天気を変えることができるかも知れない。けれどあなたは地上に戻ることなく消えてしまう。天気がどうなったのかも分からないままに。……それでもいいの?」    ここに来る前、隣のてるてる坊主が言っていたことを思い出した。   『そんなことしたらお前、消えてなくなるぞ』    それでもぼくに迷いはなかった。たとえ消えてしまっても、悠くんが喜んでくれるのなら、ぼくは嬉しい。だからぼくは神さまに答えた。   「はい、神さま。お願いします。明日を、晴れにしてください。ぼくにはもう悠くんの喜ぶ顔は見れないけれど、ぼくはきっとこうするために生まれてきたんだよ」
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