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対峙(三)
ところが、今まさに女に喰われようかという状況で、それでも玉瀬は思考を止めてはいなかった。
首が絞まる直前、玉瀬はとっさに、首と女の腕との間に手首を滑り込ませていた。それで少しばかりの隙間ができ、なんとか意識を刈り取られることは免れたのだ。
息苦しさに耐えながら、腰に付けていた袋を掴む。
そうして、それを力一杯、女に投げつけた。
中にはたっぷりと砂が入っており、たちまち女はぎゃっと叫ぶ。それから、慌てて砂を払い始めた。
水・火・金・木・土を基本とする五行相剋というものがある。その考えにおいて、水は土の属性に弱い。故に、水の怪たる女には、目潰し以上の効力があった。
力の緩んだ腕をすり抜け、玉瀬は咳き込みながらも体勢を立て直す。
「残念だったな。食事はおあずけだ」
数珠をきつく巻き直す。
呼吸を整え、詠唱も再開する。
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