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再び街道へ(一)
「いやあ! 本当に退治してくれるとは!」
翌朝、饅頭屋の店主が緊張しながら店に来ると、待っていた玉瀬たちは、あっさりと顛末を語った。
師弟の手を取り、店主は目を潤ませる。集まってきた他の店の者たちも、皆、明るい顔だ。
「もう、あの池で人が呑まれる心配はありません。気になるようなら、一度行ってみてください。昼でも感じたという嫌な雰囲気は、なくなっているはずですから」
「とは言え、しばらくは慎重になるでしょうが……。皆さんの気持ちが落ち着いたら、また、ここを賑やかな峠道にしてくださいね」
晴道と玉瀬の言葉を受け、皆は口々に礼を言う。
「必ず。戻らなかった人たちのために、供養もしなければいけないし」
「ぜひ、そうしてあげてください」
師弟は柔らかく言って頷いた。
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