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不穏な噂(五)
「ですから、怪異への対処は心得ています。師の軽い感じの言動も、慣れているが故ですので、気を悪くしないでくださいね」
「おい、軽いってのは聞き捨てならんな。俺も真面目に話してたんだが?」
「それなら、誤解されないように、一層気をつけてください」
言い合う二人に戸惑ったか、店主は慌てて止めに入った。
「あ、あの! 私が早合点しただけだから。悪かったね、旦那」
この言葉に師弟が静かになったので、店主が改めて尋ねた。
「それで、池に行ってくれるというのは……」
「もちろん、怪異を鎮めてこようということです」
晴道が力強く言ってのける。ところが、店主はどうにも複雑な表情だ。
「おや、困ってるんでしょう? 何か問題でも?」
怪訝な眼差しを受けて、彼は頭を振った。
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