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不穏な噂(六)
「問題なんてとんでもない。願ってもいないことで……ただ、それに見合う謝礼が……」
つまり術師に頼めるほど、金がないのだ。
ただでさえ、この半年は稼ぎが減っているという。他の店と出し合っても、大した額にはならないのだろう。
しかし、晴道は笑って応じた。
「いやいや、今回は私たちが気になって首を突っ込むだけ。依頼を受けたわけじゃないので、謝礼の心配はいりませんよ」
「師の言うとおりです。修行の一環にもなりますし」
太っ腹に言った玉瀬らに、相手は戸惑いを隠せないでいる。
「でも、だって、それを生業にしてるんでしょう? 金を取らないと、やっていけないんじゃないかい?」
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