0人が本棚に入れています
本棚に追加
次は誰に装置を使おうか考えながら、私は自分の席へ戻りかける。
そのとき丁度、勅使河原さんが部屋へ入ってくる。
勅使河原さんは、温厚で心の広い人として知られている。
面倒見もよく、私はいつも彼にお世話になっている。
昨日も嫌な顔ひとつ見せずに、私の残業を手伝ってくれた。私は彼を本当の聖人ではないかと思っている。
彼のような聖人に、この装置を使ったらどんな数値が出るのだろう。
すべての数値が穏やかに低いのか、それともやはり「楽」の数値が飛びぬけて高いのだろうか。
好奇心から私は勅使河原さんに装置を向ける。
「あれ……?」
最初のコメントを投稿しよう!