わんわん探偵団 第二章

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静岡駅に到達すると、和辻刑事が仁王立ちで風雅舞とわんわん探偵団を出迎えた。 何やら新幹線の車内で事件が起こり、この日、わんわん探偵団は呼び出されたのだ。 和辻刑事が、ここまでの経緯を舞に説明する。 「喫煙者だった柴右衛門は、新幹線で静岡駅に向かう間、ずっと喫煙室に篭りきりだったはずだ。しかし、到着時には冷たくなっていた」 「死因は?」 「毒殺だ。使用された毒物はニコチン。しかし、神戸と静岡までの清掃の際のゴミ袋から、ニコチンを含んだ注射器等は見付かっていない」 「なるほど、では柴右衛門の荷物からキセルの様なタバコの吸引器は見付かっていませんか?」 「良く分かったな、ルディ君。柴右衛門の子分の狸によれば、柴右衛門が何時も持ち歩いている荷物には木製のキセルが入っていたそうだ。 「うんうんうん、そうか…」 「何か分かったのかね?」 「犯人はまだ分かりませんが、殺人トリックは分かりました」 「なぬ!本当か?」 「キセルの中に高濃度のニコチンを吸水した注射針が入っていたのです。キセルから煙を吸引する際に、針が引っ張られ舌に刺さる仕掛けがしてあった。柴右衛門は気付かずに吸引してニコチンを体内に取り込んでしまい、中毒死した」 「誰が、そんな仕掛けを?!」 「大般若経を狙う何者かの仕業でしょう。柴右衛門は、料理対決の賞品として、次に大会が開かれる静岡まで、御自分で経典を持ち運んでいらっしゃったのです。それを知っている誰かが犯人ではないでしょうか」
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