わんわん探偵団 第二章

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この日、わんわん探偵団は、和辻警部から横浜まで出張の要請を受けた。 横浜の旧家大谷家の晩餐でお嫁さんが倒れた。鑑識の話しでは、夕食の餃子の大皿に毒が盛られていたのだ。大皿に毒が盛られていた事から、ターゲットは誰なのか不明だ。しかし、運良く毒入り餃子を食べなかったのか、お孫さんや他の家族は助かった。お嫁さんだけが毒入り餃子を食べたのかもしれない。 「ここ、大谷家では、お姑さんの財産である和風建築の実家を誰が相続するのかトラブルが起きていた。第一相続人は息子さんだ。しかし、息子の嫁に実家をやりたくないお姑さんは、お孫さんに実家を相続させようと企んでいたそうだ。そんな時、お嫁さんが毒殺された。カリを盛られたんだ。当初はお嫁さんの自殺説もあったが、遺書の筆跡に不審な点があるので、我々警察は他殺説の線に切り替えた。ルディ君、どう思うかね」 「この機械は?」 「それは美顔器、元モデルのお姑さんが所有していた美容機器だ」 「今の所有者は?」 「お嫁さんとお孫さんもモデルで、現在は、その二人が共有している」 「なるほど、分かりました、トリックはこうです。犯人は先ず、美顔器に仕掛けをした。噴霧器から噴射する蒸気は、通常美顔器側面のタンクに入った水が加熱されたモノです。しかし、犯人はその水に解毒剤を混ぜて、吸引すれば解毒作用のある蒸気に変えたのです」 「それを、どうやってお孫さんだけに吸引させたのかね」 「お嫁さんは喫煙者でしたか?」 「いいや、お姑さんが喫煙者だった」 「では、喫煙者と非喫煙者では呼吸の仕方が違う事をお姑さんなら知っていたでしょう」 「そうか、タバコは口に咥えるから喫煙者は口で呼吸する癖があるのか」 「でも、非喫煙者のお嫁さんは鼻で呼吸する。だから、美顔器の蒸気の噴出口を鼻の角度に固定して、お孫さんに譲ったのです。そして、今夜、未成年のお孫さんは夕食の餃子の大皿に仕込まれた遅効性の毒を盛られたが、鼻から蒸気を吸って解毒され、一命をとり止めた。しかし、口から蒸気を吸っていた喫煙者のお嫁さんは、解毒される事なく毒殺されてしまったのです。
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