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横浜の大谷家から、静岡県の自宅に帰宅した舞は、その日の夕飯をミィマンマで済ませた。
メニューはサバのチーズ焼きの蜂蜜ソース。甘くてクリーミーな逸品だ。
「大谷家のお嫁さんが残した遺書は、どういう風に不審な点があったのですか?」
ルディがチーズを頬張りながら訊いた。
和辻警部が応える。
「遺書はスマホに遺されていたのだが、スマホのスクリーンから指紋が見付からんのだ」
「ならブルートゥースのキーボードを使ったのかも」
警部は直ぐに神奈川県警の鑑識に電話して、お嫁さんの手荷物を調べる様に指示を出した。
折り返し掛かって来た電話を切ると、和辻警部は続けた。
「手荷物の中に折り畳み式のキーボードがあったそうだ。だがキーボードからも指紋が出ない。触った跡が無いんだ」
「じゃあリング式のマウスをPCとペアリングして遺書を書いたのかも。リング式マウスは指先を小さなセンサーに乗せて操作するから、指の油は残っても指紋は残り難い」
「だが、その証拠は無いだろう。どうやって証明する?」
「もう一度リングマウスでペアリングを試みれば接続済みか表示されるはずです。直ぐにお嫁さんの遺品にリングマウスがないか調べて下さい」
和辻警部が指示すると神奈川県警の鑑識から返事があった。
「お孫さんの私室から、リングマウスが発見されたそうです。どうしますか?」
「お孫さんを任意で同行して聴取しろ」
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