わんわん探偵団 第二章

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「大谷家のお孫さん二人の内の姉の方が暗殺された。毒を盛られたんだ。容疑者は、財産を継ぐ予定だった、もう1人のお孫さん。これは弟の方だ。彼は、スーパーで購入した冷凍食品に、カリを混ぜた」 「えっと~、これは実話なのですか?」 「いや、クイズだ。実話ではない。ヒアリング式の問題で解決出来たらクリアだ」 「弟さんが、カリを盛った後の行動は?」 「姉を殺害した後に解毒剤を飲んで自分は助かった」 「例のチリ餃子事件と同じく無差別に一服盛って殺害する方法ですね」 「発想はお姑さんと同じだ。では、ここで問題。弟さんの荷物からは、解毒剤が見当たらない。どこに解毒剤を隠していると思うかね?」 「一見して見当たらないけど、実は隠し持っている。見た目が解毒剤ではないのか、それとも消えてしまったのか、、、」 「解毒剤を消した方法は?」 一度は現場に持ち込んだと云う事でしょう?」 「そうだ、その後、解毒剤は消えた」 飲んでしまえば消えるのは当たり前。でも所持していた事が分かれば、毒殺の犯人だと疑われる。 「誰にも分からない様に持ち込んで、冷凍食品をたいらげたタイミングで飲む必要もある」 「手荷物や身体は調べたのでしょう?でも、何も出なかった。弟さんはここへ入る時、チューインガムを噛んでいたのを目撃されている、だが事件の起きたあと、そのガムは消えてしまった。ごみ箱にも彼の手荷物にもガムは見当たらない」 「彼の口内が酸性だったため、チューインガムは溶けてしまったのです。 ごく稀に唾液が酸性の人間が居るのです。 恐らく彼は解毒剤入りのガムを誰かから受け取ってそれを噛んでいたから助かったのでしょう」 「誰か、とは?」 「犯人です」 「そして何故、犯人は彼に解毒剤入りのガムを渡したのだろう。それは簡単。毒を盛ったのも彼を助け様としたのも同一人物だからだ」 「犯人は一族を抹殺する動機があり、尚且つ彼を大切に思い好意を抱いていた人物。お前だ! お嫁さん!」 「お嫁さんと長男が共謀して長女を殺害したのか」
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