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プロローグ 〜愛美夜(あみや)〜
ここは夜中だけ開くカフェ。
真っ黒の壁に大きなドア。
ドアの小さな看板には、
“nightist “と書かれている。
今日もひっそり営業中だ。
私はこの店で働く愛美夜(あみや)。
1年前、不思議な体験からこのお店で働く事になった。
夜中だけ開くこのカフェで、なぜ働くかというと、私は、夜、全く寝ないからだ。
昔は、少しは夜寝ていたが、今では夜に眠る事は全くない。
でも、それを嘆く事も、焦る事も、今はもうない。
なぜなら、私は、夜行性の人間だから、夜寝ないのは自然な事と言って貰えたからだ。
今では、大好きな夜に起きていられる事を楽しみ、なにより、この店に出会えた事に幸せを感じている。
そもそも、よくよく考えてみたら、名前も名前だ。
''美しい夜を愛す"
愛する娘が生まれた時、月が輝く美しい夜だった事から、''愛美夜"と名付けたらしい。
珍しい名前だけど、とても気に入っている。
今日もまた、夜、眠らない私、そして、眠らない客たちが、このお店の温かな光の中で、静かな長い夜を過ごす。
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