恋愛小説化

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 僕は病的なリアリストであり、子供の頃からこの性格を遺憾なく発揮していた。  初めてサンタクロースがやってきた時も、北欧に住む高齢者が世界中の子供たちの家を回れるわけがないと推理し、プレゼントを受け取ってすぐ両親にこう告げたのだった。 「犯人はあなた達ですね」と。  高校三年生になった今もリアリストぶりは健在だった。自分の学力に応じた大学をいち早く選定し、進学に向けた完璧な工程表を作成した。着実に学力は向上し、このまま行けば、合格は間違いないと思っていた。  しかし、最近この工程に狂いが生じている。原因はクラスメイトの岬さんだ。席替えで隣の席になった彼女と、以前より関わる機会が増えたからだろうか。彼女を見ていると心拍数が上がり、彼女と会話すると口元が緩んでしまう。勉強に身が入らず、思ったように成績が伸びない。  僕は冷静に分析し、一つの結論に達した。  ――どうやら、僕は彼女に恋をしている。
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