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―― もう、できるもんっ! ――
幼稚園に通う源一は強がっていた。
去年のお遊戯会も主役で、両親は大いに喜んでいた。
そして今年も主役に抜擢された。
源一にとっては、お遊戯会は慣れたものだった。
しかし、一年時が経つと、人間として様々なことを経験した分、不安が湧いてくる。
しかも、前日になってその不安が一気に源一に襲い掛かってきた。
ほんの少しだけ、―― 大丈夫、かなぁー… ―― などと考えていると、自然に体が動き、感情を込めてセリフを流暢に発する。
一時間後、急に静かになったので、源一の母の沙知は少し心配になった。
源一の部屋の扉を開けると、源一は大きな亀のぬいぐるみの上で、白髪の老人になっていて、納得の笑みを浮かべてこと切れていた。
~~ おわり ~~
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