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「……ありがとうございます」
高也とお正月を一緒に過ごせることが夢みたいだった。
私でさえ、そんな気持ちなんだから高也はそれ以上だと思う。
いつもの年よりものんびりお節を食べていたら、お昼近くになっていた。
「後片付けは私がやるから、二人で初詣に行ってきたら?」
「近所の神社なら、散歩がてらに行けるだろう」
食べすぎたから、ちょうどよかったし、高也は近所を歩きたいかなと思い、コートを手にした。
二人で外に出ると、ちらちらと白い雪が降っていた。
「わー! 雪だね。明日、お父さんとお母さんくるのに。飛行機、大丈夫かなあ」
「これくらいなら積もらないと思うぞ」
「そっか」
手を繋ぎ、石段を上がる。
「懐かしいな。捨てられていた俺を佳穂が拾った神社だ」
「そうだったね。神様が高也と会わせてくれたのかもね」
「なら、しっかりお礼をしておくか」
賽銭箱に硬貨を投げ入れると、乾いた音がした。
ぱんぱんっと手を叩いて目を閉じた。
神様。高也と私を出会わせてくれて、ありがとうございました。
そして、どうか。
高也とずっと一緒にいれますように―――
【2章 了】
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