1400人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼっーと高也を見ていると、おじいちゃんが通りすがりに謝っていった。
「いえ。いつものことなので」
「佳穂! 高校生にもなって起こしてもらうとは何事だ」
おじいちゃんの小言がうるさくて、両手で耳をおさえた。
「高也君。お雑煮、いくつ食べる?」
「三個でお願いします。佳穂は?」
「一個ー! のこり一個はきなこで食べます!」
「高也君。朝から棚の上を片付けてくれてありがとうね。年寄りばかりだと高いところがどうしてもねぇ」
「なにかあれば、なんでも言ってください」
「高也君は本当に頼りになるわ」
心なしか、おばあちゃんの声も浮かれている上に十歳くらい若い声になっている。
まったく、イケメンに弱いんだから。
服を着替えて、茶の間に行くとお節やお雑煮が用意されてあった。
私が一番遅くて、すでに食べる準備が整っている。
「あけましておめでとうございます」
「はい、あけましておめでとう」
「二人にお年玉だ」
「わー!ありがと!」
「いえ、俺は……」
戸惑う高也におじいちゃんは言った。
「たいした金額でもない。学生の内は黙ってもらっておくといい。お菓子でも買いなさい」
最初のコメントを投稿しよう!