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屋慶名(やけな)という港から船が出ているが、半島の先端にある米軍の施設から直接、ボートやヨットで行くこともある。
「おしゃべりはその辺でいいだろう? 早く始めようぜ」
領は挑発するように、男の手を取って自分の胸に当てた。
「ゆっくり行こう」
挑発には乗ってこなかった。
「窓に向かって立つんだ」
領の無防備な背中に、かすかに鳥肌が立った。
背中を向けたとたんに、白人の若い男に刺された仲間の話が領の頭に浮かんできた。
男は、ペッドに腰かけていた。
外の明かりで、領の姿はシルエットになっている。
「脚を開け」
カメラのシャッター音は聞こえなかったが、領はヌードモデルにでもなった気がした。
男の目が、カメラのレンズのように注がれているはずだ。
「もっと」
領は少しずつ、自分の鼓動(こどう)か速くなって行くのがわかった。
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