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部屋の中には、30歳ぐらいに見える男がいた。
窓際に立って、ゴミゴミした街の屋根の連なりを眺めている。
「ハーイ!」
領はいつも通り声をかけた。
ふり向いた男は、ミミが言ったように、こんなところへ来るにしては珍しいくらいのイイ男だった。
「いくつだ?」
「は? 未成年者はダメとか? あんた先生?」
領は思わず舌打ちした。
「18禁かよ? 19だよ、文句ある?」
ーー17歳と言ったら、やめようと思った。
19歳ならいいのか? --
小田切は自分を嗤(わら)った。
17歳なら、痛々しいと思ったにすぎない。
そんな偽善者の自分がイヤで、ここまで流れてきたはずなのに。
「ないよ」
領は腕組みをしてドアにもたれ、男を観察した。
「始めに、金の話しようぜ。オレがあんたにイイ思いをさせるんなら2万。全部するなら4万」
「全部?」
男がまっすぐ視線を向けてきた。
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