24人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと待てよ!」
「何だ?」
「あのカメラ……」
「え?」
「写真はダメだよ! NOだ! そういうのは他へ行ってやってくれ!」
領はイスの背にかけたシャッをつかんで、はおった。
素早い動きだ。まるで猫のように、しなやかで。
「違う。あれは商売道具だ」
男はNikonをふり返って言った。
「あんた、カメラマン?」
「そうだ。たいした仕事はしてないが」
そう言いながら、男のカメラを見る目は優しかった。
「これも、もしかして仕事だったりするわけか?」
まだ警戒を解いていない領に近づき、男はハデなプリントのシャッを脱がせた。
最初のコメントを投稿しよう!