用意周到

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依頼人からの依頼内容は、あるオフィスビルに忍び込み、契約書を盗んでくることだった。 よほど重要な契約書なのだろう、依頼額は100万円だ。 今まで民家にしか忍び込んだことはなかったが、忍び込むのはお手の物さ。 それになんと言っても、依頼額がでかい。 多少のリスクはあるだろうが、やらない手はなかった。 「で?その準備にいくらかかったんだよ」 「38万」 「馬鹿じゃねーの?だったら実質儲け60万じゃん。そんなコントみたいな話あるかよ」 こいつは、俺が頼んでもいないのに勝手にバディに名乗りを上げた借金持ちの万引き常習犯だ。 「だから素人は困る。仕事が大きければ大きいほど準備が大事なんだよ。失敗したら元も子もないじゃないか」 「なるほど」 「いよいよ明日だ。明日は祝日だから夜はほとんど人がいないはずだ。作戦通り頼むぞ。くれぐれも足は引っ張るな」 「偉そうに、わかってるさ」
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