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さっきまで羽花がいて、楽しそうにしていたのが夢のように思えた。
羽花が書いた文字が見える。
『二人で沈む夕日がみたい』
仙崎が渡したパンフレットに書いてあったのをボールペンで消してある。
恥ずかしくなって消したのだろう。
綺麗に消えていないせいで、何と書いてあたのかすぐにわかってしまった。
そして、ボールペンで書いたらしいハート型が見えた。
「ラブラブっすね……」
竜江が俺をちらりと見た。
「うるさい。行くぞ」
「場所はわかるんですか」
「羽花は矢郷組の本部にいる」
「本当に!?」
言い切った俺に驚いて竜江は聞き返す。
すぐにわかることだ。
なぜなら―――
「羽花を隠すなら、俺が絶対に手だしできない場所にする」
そんな場所はただ一つだけ。
仙崎と竜江はすぐに納得した、
羽花は怖い思いをして怯えているだろう。
そう考えると胸が痛む。
待っていてくれ―――羽花。
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