母の正体

3/9
前へ
/388ページ
次へ
親戚の人達はもしかして、気づいちゃったんじゃないかな。 足を洗ったから、大丈夫なはずだけど、親戚達がどう出てくるか予想もつかない。 「だからさぁー!仙崎さんじゃなくて、俺がよかったと思うんだよね」 竜江さんは料亭に場所が移り、くだけた様子になるとお酒を手に近寄って来た。 「ぜってー柳屋の親戚の人達、仙崎さんにビビッてたよな?」 すでにほろ酔いらしく、いつもの軽さに増して、さらにふわふわと軽くなっていた。 それなのにまだ飲むのか、竜江さんはお酒を注ぎだしていた。 「仙崎さんだけが威圧感あるみたいな言い方はやめてください」 威圧感があるのは周りの人もですからね? 竜江さんは気づいてないみたいだけど、あなたもですからっ! 確かに今の竜江さんは人あたりのいい雰囲気を見せている。 でも、ヤクザモードに切り替わった竜江さんはけっこう怖い。 ケンカだって強いし。 そういえば、竜江さんに彼女っているのかな。 ちょっと聞いてみたい。 ふわふわ状態の竜江さんなら、教えてくれるかも。 そう思って話しかけようとした時――― 「俺達の時は絶対に仙崎さんには……」
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8217人が本棚に入れています
本棚に追加