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「え?竜江さん、結婚を考えている人が―――」
ドンッと竜江さんが突き飛ばされ、横に転がった。
「お姉ちゃん!打掛けすっごく素敵ね!時代劇のお姫様みたいよ!」
「今、すげー、力だったんだけど!?」
百花がズサッと私の前に現れた。
「和装で大正解!料亭の料理も美味しいし!」
「おーい……聞いてるー?けっこう痛かったよー」
訴える竜江さんを百花は無視していた。
この二人、仲悪いのかな……
「俺に冷たい」
竜江さんが畳の上でしくしくと泣き真似をしていた。
けれど、百花はそれを完全に無視していた。
「俺に優しくしてくれても……」
「私は優しいわよ?」
百花が竜江さんをぎろりとにらみつけていた。
私の周りに近寄るなと言わんばかりにガードする百花。
もしかして、私と話そうと思ってたけど、竜江さんがいて邪魔だったのかな。
「俺の扱い雑すぎるっ!俺は百花の―――」
ひゅうっと冷たい風が吹いたような気がした。
あれ?もしかして、冷房が入った?
「なに?」
「いえ……」
嶋倉の人達よりも威圧感がある百花の声に竜江さんは目をさっと逸らした。
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