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「竜江、お前はうろちょろしてないで、お酌してこい」
柳屋の親戚に一通り挨拶をした冬悟さんが席に戻って来た。
すでに宴会状態。
親戚の人達は酒もかなり入っていて、笑い声が響いていた。
「ここに来る前にちゃんと俺もお酌してきましたよ。酔い潰せって話でしたからね」
冬悟さんに言われて転がっていた竜江さんは身軽にとんっと跳ね起きた。
「冬悟さん、ひどいじゃないですか!俺を親族に加えてくれないなんて!」
「うるさいからだ」
確かに……と全員がうなずいてると竜江さんはまた畳の上に伏せていじけていた。
「羽花姉さん、おめでとう」
騒ぐ竜江さんを避け、弟の帆希が着物姿でやってきた。
どこからどうみても和菓子屋の若旦那。
私も百花もじーんっとしてしまった。
あんな小さかった帆希がこんなに成長したなんて、姉として嬉しい。
「姉さん?」
涙をぬぐっていると冬悟さんが優しく微笑んでいた。
さっきはヤクザモードなんて、思ってごめんなさい。
やっぱり冬悟さんは素敵ですね。
うっとりと冬悟さんの和装を堪能した。
外見だけじゃなくて、冬悟さんは親戚達の扱いも上手だった。
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