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さすが冬悟さんっていうか、私の旦那様っていうか―――(延々と続く)
「衣兎さん。ちょっといいかな」
「なにかしら」
衣兎おばさんは親戚の人に呼ばれて、なにか話しこんでいた。
深刻な顔をしていた話し相手は話が終わるとパッと顔を明るくさせた。
「ありがとう。助かったよ」
そんな返事が聞こえてくる。
「悩みはつきないものね」
昔から衣兎おばさんはお店で人の相談をされてきた。
近所の飼い猫のことから、隣の家の木の枝が邪魔だとか、そんな話まで丁寧に答えていた。
そのせいか、よく人から相談を受ける。
衣兎おばさんのアドバイスは上手だと評判だった。
「衣兎おばさん、また相談に乗っていたの?」
百花がたずねると、おばさんはそうよとうなずいた。
「最近は雑誌でも相談コーナーを任されているのよ」
百花がえっ!と小さい声をあげた。
そして私も。
「ま、まさか。武士の母!?」
「あら?そうよ。二人とも読んでるの?」
「読んでるっていうか」
「目にはいっただけよ、たまたま、たまたまよ!」
私と百花が不自然に目を泳がせた。
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