彼氏くんと彼女ちゃんの話 7

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***** 「すみません、急に。 まったく、主人のお義母さん、相も変わらず無茶ばっかり振ってこられて……」 お、これは母ちゃん、お向かいさんに電話してるな。 あそこのおばさん、テンション高いけど実はおじさんとラブラブしてるんだよな。 こないだ、夫婦で手ぇつないで歩いてるところを目撃してしまって、むしろこっちが照れて目ぇそらしたわ。 「いぃえぇ、そんな! なにを仰います、ウチの息子なんて、もーういつまでも子供で。 机周りはぐっちゃぐちゃだし、風呂ででっかい屁ぇこいてるし。 カッコイイのカの字もありませんって、いや本当」 母ちゃん、……それ以上言ってやるな……さすがに兄ちゃん、可哀想だぞ。 「むしろそちらこそ、とっても素敵なお嬢さんで! そういえば夏には、夕立の時にウチの洗濯物を取り込んでくれてたこともありまして。 本当に気が利くよく出来たお嬢さんで、ウチの子には勿体ない限りですわ」 それなー。 あの兄ちゃんには勿体ないよなー。 全面的に同意する。 「夕方から近所のショッピングモールで晩ご飯を食べて。 次の日は学校なので無茶出来ないでしょうし、遅くとも九時には家に帰るように言ってありますので。 申し訳ないですが、よろしくお願いします。……あら、そうなんですね。 ふふ、分かりました、ウチの子にはそれとなーく伝えておきますので。 はい。 はい、失礼いたします」 うぅん、彼女とのことが親に筒抜けってのも、なんか嫌だな……。 俺は、もう少し上手いことしようっと。
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