4人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
「うわぁ……私服可愛いじゃん、ちょっとびっくりした……」
ふおぉお! デート真っ先にそのセリフがちゃんと出るんですかチミは?! 私、心臓持つのか?! これでも帰宅後鏡の前で一時間近くファッションショー状態だったから……! デート後の部屋の惨状は、今は考えないでおこう。
クリスマスだからということで、明るい赤のオフタートルのセーターに白のチェスターコート、光沢のあるダークグレーのチュールスカート。 後はアクセサリーや小物類を色々と頑張った……! 自分にはこれっくらいが精一杯でござりまする。
現在時間は六時半……九時には帰れ、とのことなのであまり時間もない。
「行こうか」
彼が言うから、うん、と頷いて歩き出す。 ……あらら、どうしましょ、柄でもなくちょっとドキドキしてしまって、何を話していいのやら……。
「……。 おい、緊張してんのか? 行き先は『二十日 三十日 五%オフ♪』のところなんだぞ」
「そうだけど! むー……だってなんか嬉しいっていうか、恥ずかしいっていうか……」
顔が火照って赤くなってるのが分かる。 くそぅイケメンめ、なんだか負けた気がするじゃないか。
「そっか……じゃあ、もうこれ以上。 手ぇ繋ごうか、とか言わないほうがいいな」
「なな、なんですとー?!」
彼が楽しそうに歯を見せて笑っている。 なんだか悔しいので、彼の顔を見ずに先に彼の手を取って歩き出す。
「ほら、行こう! シンデレラは二時間半で魔法が解けちゃうんだから」
「おいおい……自分で自分をシンデレラとか言うなよ」
もーう、いつも通り慣れてる道なのに。 彼と一緒で、今がデートというだけで。 なんだか全然違って感じられるから、不思議。
最初のコメントを投稿しよう!