現代版 枕草子

1/1
前へ
/1ページ
次へ
通勤時間に人身事故が起きては「今、死のうとするなよ。」と舌打ちする人。 その人々が電車に乗り遅れまいと慌てて乗り込む。 車内では皆が同じ角度に俯く。 子どもが泣くと途端に虚ろな目をそちらに向ける。 隣では学生が大人達を哀れんでいる。 ドアが空くと''我先に''と人々を押し退ける人。 最後尾でドアをくぐる。 頭上には鉛色の空が私を包み込む。 「私たち、似た者同士だね。」
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加