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やがてお開きとなり、ほどよく赤ら顔になった者たちは、店を後にする。
先輩は、めずらしく酔った風なので、カナヤはタクシーを停めると、一緒に乗ろうとした。
すると先輩が、
「あれ、キミ、私の住所、知ってるの?」
「えー、以前の時に教えてもらいましたよ」
「あら、そう‥‥。私の部下だから、ま、いっか‥‥」
星空の下、二人が後部席に乗ると、タクシーはを走りだした。
数日後の月末の深夜‥‥
社務所の窓を開けると、例の大木の辺りに向けて耳をすませた。
すると‥‥
コーン‥‥コーン‥‥コーン‥‥
‥‥てな‥‥てな‥‥次回の光景を、タクシーの後部席で、先輩の横顔を見ながら、彼は妄想するのだった‥‥。
――終――
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