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専用のアプリをダウンロードすれば、絵がかけなくても、楽器がひけなくても、ボタンひとつで、なんとなくそれっぽいものができあがる。
小説なら、思いついた単語をうつだけで、AIがそれっぽい文章をしあげてくれる。
なんでもない動画も、エフェクトをかければ芸術作品のできあがり。
いまや才能などなくとも、誰でもお手軽簡単に、芸術家になれるのだ。
そうして、世界総アーティスト時代が到来した。
世界中のアーティストたちは、日々好き勝手にアートを作り、悠々自適に暮らしている。
しかしそれはそれで、問題があった。
なぜなら、みながアーティストになってしまったために、他人のアートを鑑賞したがる人がいなくなったのだ。
人々は何のためにアートな活動をしているのか、わからなくなってきた。
それもそのはず、アートは大量に生産されているが、どれも似たりよったりのつまらないものばかり。
せっかく芸術をやっているのなら、誰かに鑑賞してもらいたい。かといって、お互い作っているものをみせあって、お世辞でほめあうのではつまらない。
できればアーティストではない人から、賞賛されたい。多くの人がそう思っていた。
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