「つらい仕事」奇妙で不思議な5分ショートショート短編 vol.10

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専用のアプリをダウンロードすれば、絵がかけなくても、楽器がひけなくても、ボタンひとつで、なんとなくそれっぽいものができあがる。 小説なら、思いついた単語をうつだけで、AIがそれっぽい文章をしあげてくれる。 なんでもない動画も、エフェクトをかければ芸術作品のできあがり。 いまや才能などなくとも、誰でもお手軽簡単に、芸術家になれるのだ。 そうして、世界総アーティスト時代が到来した。 世界中のアーティストたちは、日々好き勝手にアートを作り、悠々自適に暮らしている。 しかしそれはそれで、問題があった。 なぜなら、みながアーティストになってしまったために、他人のアートを鑑賞したがる人がいなくなったのだ。 ec70062b-fb15-4057-9d36-3a0c7518b4a8 人々は何のためにアートな活動をしているのか、わからなくなってきた。 それもそのはず、アートは大量に生産されているが、どれも似たりよったりのつまらないものばかり。 せっかく芸術をやっているのなら、誰かに鑑賞してもらいたい。かといって、お互い作っているものをみせあって、お世辞でほめあうのではつまらない。 できればアーティストではない人から、賞賛されたい。多くの人がそう思っていた。
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