大江戸闇鬼譚

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 詳しく知りたいけれども、あらぬ噂を立てられては困る。そこで保険として優介が使われたのだ。これもよくあることで珍しくはないが、今回の優介の歯切れの悪さからして、よほどあれこれ念を押されているのだろう。 「あの小間物屋のように気楽には構えていないわけだ。だが、その点は安心していいと、その大店の主に伝えてくれ。娘の純潔に関わるようなことは、この事件では起きていない」 「ほ、本当か」 「ああ」  最初に散々不安要素として煽られたせいか、優介はまだ不安そうだったが 「怖い思いをしていないという花の言葉は本当だ。そして、犯人と遊んでいただけだ。ただ、まだ何をしていたのかの確証がない。そこでその子からも話が聞きたいだけだ。そのまま伝えてくれていい」  飛鳥はこれでどうだと言葉を付け足した。 「ううん。そこまで飛鳥さんが言うのならば信用するけど・・・・・・実は依頼人はその被害に遭った子の親じゃなくて、親戚なんだよね」  優介はだからすぐに話を聞けるとは思えないと、依頼の話を聞いた時の複雑な事情を明かし始めた。 「ほう。つまり、親は真実がどうであれ、暴き立てるのは娘の今後に関わると考えたわけか」
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