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「とても奇妙なことでして、ぜひとも先生のお力をお借りしたいんです」
手を合せた。
「それは構わないが、何があったんだ?」
鬼なので信心なんて持ち合わせていない飛鳥は、手を合せるなよと苦笑しつつ訊ねる。
「それが、半年前、娘が殺されたのです」
しかし、妙観院が語った内容は、飛鳥の予想を上回るものだった。
「殺されただって」
それは奉行所に相談すべきじゃねえかと、飛鳥は腕を組む。まさか犯人を捜せとでも言うつもりか。別に出来ない事はないが、面倒である。
「はい。私が普段住まうのは江戸ではなく、陸奥のとある山間の農村です」
飛鳥の難しそうな顔にも物怖じせず、妙観院はそう言って事件について語り始めた。
妙観院はとある藩士の妻だった。しかし、夫が病で早くになくなり、残された娘と二人で慎ましく暮らしていたのだという。娘が婿を取ることで家を繋ぐことは可能だが、貧乏には違いない状態だったという。日々百姓と変わりない生活をしていた。
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