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妙観院は横に置いてあった風呂敷から、金糸の帯を取り出した。飛鳥はそれを受け取ると、確かに良さそうなものだなと頷いた。だが、話は娘が殺されたことが肝だったはずだ。わざわざこの腹帯を出してきたということは、犯人はその僧だということになる。
「いつ娘は殺されたんだ?」
「その日の夜のことです」
こんなもので安心するのではなかったと、妙観院は悔しそうに唇を噛む。
僧は長旅で疲れていたようで、すぐに眠りに就いたという。娘は婿を取る前であり、妙な噂が立ってはいけないと、奥の部屋で眠っていた。
さらに、妙観院も間違いが起こってはならないと、寝ずの番をしていたという。囲炉裏の前で縫い物をしながら一夜を過ごした。
しかも、僧は朝早くに起きてくると、何食わぬ顔でもう出立すると妙観院に挨拶までしたのだという。妙観院も修行中ということがあって、朝早く出立するのは当然だろうと、普通に見送ったという。
どこにも怪しい様子はなかった。僧の衣服に血が付いているということもなかった。それなのに、娘は奥の部屋で刺し殺されていたのだった。
「それは妙ですね」
「確かにな」
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