大江戸闇鬼譚

138/209
前へ
/209ページ
次へ
 飛鳥はどんな忠告だよと肩を竦める。それに人間との深い付き合いは避けるべきだが、商売女ならば子どもが出来ても育てられることはないのでいいのでは、なんて考えることはある。いつも優介と雨月という男ばかりを相手しているのも、つまらないものだ。 「男だと主張するのならば嫁を貰えば・・・・・・って、そう簡単な話じゃないか」  優介は女遊びをする飛鳥なんて想像したくないと首を振ったが、嫁を貰えば万事解決という身分じゃなかったと気づく。 「あ、あれ。でもさ、本来の身分的にもヤバいんじゃないの」  しかし、公家だというのならば、ますます吉原なんて行っている場合ではないだろう。優介はダメダメとますます首を横に振った。 「馬鹿だな。男であることに身分なんて関係あるか。それに今は『源氏物語』のような麗しい世界があるわけじゃないからな。金を払ってお願いするのは当然だろう」  飛鳥は何を堅く考えているんだと、面白いので引き続きからかう。奥手の優介からすれば、遊女と遊ぶなんてあり得ない話なのだろう。ある意味で乙女のような考えの持ち主だ。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加