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変貌する田舎町
昔から貧乏なのに元気な母ちゃんと時々しょげる僕は、ド田舎と言われた村に住み着いて居ました。
僕が生まれた頃の村は四方を山々で囲まれた荒涼とした美しい風景で、土で盛られた凸凹道が通り、雨の日は水溜りが点々と連なっていた。
鉄道は通っていました。
日本でも既に絶滅危惧車の汽車が、長閑に走っていた。
立派じゃない駅も在りました。
便利な無人駅で、駅前は雄大な雑草地が広がり、ウサギさんやクマさんやヘビさんが時々遊びに来ていて、ケッコウ賑ぎやかでした。
駅前の広大な風景にはバス停が1個だけ立っていて、前が出っ張った古ぼけたバスが居て、ノロノロと村の原野を走り廻っていた。
この頃にはもう、駅前のバス停のベンチに熊たちが腰掛け、おんぼろバスを見送る姿は消えていました。もう熊さんと村の子供たちとの生死を賭けた追いかけごっこも、村の大人たちと熊さんの縄張りを賭けた相撲の取り組みも、無くなりました。
僕が中学生に成った頃には、ド田舎の村が都市に生っていた。
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