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母ちゃんは変親(へんしん)
昭和生まれの僕は、中学生の頃まで母を母ちゃんと呼んでいた。
その頃の母ちゃんと僕の母子家庭の衣食住は、衣食が中の下、住が下の中で総合評価、貧乏だった。
僕が幼稚園児の頃には、世間では3C(車・クーラー・カラーテレビ)を通り越していた。しかし僕のボロ家では、自転車・扇風機・白黒テレビが元気良く活躍していた。
小学生に成った時でも、僕のボロ家では未だ、中古の自転車と唸る扇風機とザーザーと雨降る白黒テレビは生きていた。
時代遅れの貧乏に僕が悄気て居る時、母ちゃんは元気な声で言った。
「お前、貧乏生活は悲劇だと思ってないかい、貧乏を悲劇と思っちゃ駄目だよ。貧乏生活は喜劇だと思えば、気が楽になるよ。貧乏は喜劇だよ、喜劇!」
「貧乏は喜劇じゃないよ。悲劇に決まっているよ!」
「お前、貧乏を悲劇だと決めつけちゃ駄目だよ、心が貧しくなるだけだよ。啓太、お前の大好きなウルトラマンを見習いなさいよ、本当は貧乏なのに、あんなに元気じゃないか」
「何でウルトラマンが貧乏なんだよ⁈」
「貧乏でエネルギーが買えないから、地球に3分間しか入られないじゃないの」
「何を馬鹿な事を言っているんだよ。それって、ドラマの設定じゃないか」
母ちゃんは僕の言葉は無視して、ニッコリ笑った
「元気なウルトラマンさんは、お前も元気になるように、呼び掛けて呉れているじゃないか」
「ウルトラマンが…? ウルトラマンが僕に呼びかけているって? 母ちゃん何を言っているの? ウルトラマンが僕に何て呼びかけているんだ?」
母ちゃんは微笑んで元気良く答えた。
「シュワッチ!」
「シュワッチ? なにそれ……?」
何故か其の時も母ちゃんの意味不明言葉で、僕は元気になった。
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