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社会人になる
高校の三年間、私は義也のことなど、すっかり忘れてしまっていた。同級生には格好いい子が何人もいて、眺め倒していた。でも好きになったのは英語の先生。友達は社会の先生。2人で用もないのに、職員室にいったり、放課に駐車場まで走って、先生たちの車を眺めたりした。まあ、よくある話だ。告白はしなかったが、卒業式の後、一緒に写真を撮ってもらった。それなりに女子高生としていい思い出になった。
さあ、これから社会人になるぞ。地元の会社に事務職で就職が決まっている。入社式は3月21日。それまで暇だなー。
「沙菜!電話!お友達みたいよ!」
「はーい」
急いで2階から下りて電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし、沙菜?僕だけど」
「ん?……義也??」
「そうだよ。元気?」
「元気」
「あのさ、今、休みだからさ、会わない?」
「え?いいけど」
「じゃあさ、明日、駅で待ち合わせしようよ。川沿い、桜きれいだから見に行こうよ」
「うん、わかった。明日ね」
明日、9時、義也と会う。初めてのデート……
何を着て行こう?どうしよう?お小遣いあるかな?えっと……
軽いパニックだ……
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