中学生

2/3
前へ
/42ページ
次へ
英会話部は、2.3年生が部室の黒板に書いてくれた単語を読んだり、何だかおしゃべりしたり、それも週に3回だけ、適当な感じだ。いちお集まってはいるけど、そんなに真剣に英会話を学ぼうって訳じゃないし、秋になると、文化祭で簡単な英語の劇をやるみたいだから、それ以外は、いちお活動してますよ~風。楽で助かる。 でも、私は休まずちゃんと参加してる。だって義也に会えるもん!義也だってきっとそう。私に会いたいって思ってくれてるはず! 「沙菜、ちょっと」 「義也、何?」 もしかして告白?! 「あのさ、また交換ノートしない?」 「え?それって……」 「部活で会えるからさ、座る場所決めといて、机の中にノート入れといたら、みんなに知られずにできるだろ?」 「そうだね。じゃ、ここ。この一番前の右端にしよ!一番前はみんな座らないでしょ?」 「うん!じゃあ今度僕が持ってくるよ!」 「うん」 これは…… まだ私を好きでいてくれるってことだよね? やった!2人の秘密の交換ノート。 楽しみだな! それから、交換ノートは再び始まった。今度は赤色の表紙のシンプルなノートを選んでくれた。上手く渡せない時は、自転車での帰り道、義也が後ろから私を追っかけてきて、さっと自転車のかごに入れてくれた。ものすごくドキドキして、恥ずかしさもあり楽しさもあり。 でも、1か月ほどして、部活のみんなにばれてしまった。 「付き合ってんのかよ!義也と沙菜」 「そうだよ。小学校の時から交換ノートしてたんだ。な、沙菜」 「う、うん」 隠したり誤魔化したりすることもなく、そうはっきり言う義也。 みんなの前じゃ、恥ずかしくてたまらなかったけど、義也がものすごく格好良くて、素敵で、嬉しい。 みんなはそれ以上何もひやかしたりしなかった。 でもさ、義也。付き合ってるっていっても、ノートだけだよ。しかも私が前に止めちゃったし、デート?とかしたことないし。 小学生、中学生じゃねぇ…… 結局、このノートもいつの間にか、なくなってしまった……
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加