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ピタリ、と自分の息が止まる。加賀さんはつづけた。
「もーベロンベロンで。でも俺運転上手いし今までも飲酒でも事故ったことないから、大丈夫かなって。でもスピード出し過ぎちゃってさ、小さな交差点で事故って死んじゃった。やらかしたわ、もっと生きたかったんだけどー」
パンフレットを持つ手がワナワナと震えた。それでも加賀さんは僕の様子に気がつかない。
「……へえ、大変だったね……」
「ねーやっちゃったわ」
「加賀さん、車何乗ってるの?」
大きく鳴り響く心臓を押さえながら僕は尋ねた。彼は得意げにこう答えたのだ。
「ポルシェよ、親父の。青いポルシェ!」
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