122人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「加賀武志様が 十四
高橋晴也様が 二億二千
……という結果になりました」
「いえーいにお…………え?」
喜ぶ声をあげた加賀武志が停止した。僕も同じように全身の動きが止まっている。
聞き間違いかと思ったのだが、隣の加賀武志の様子を見るに、僕は聞き間違えてなどいないらしい。
「こちらで次のオークションに挑んでいただきます。始まるまでまだ時間がありますので……」
「ちょ、ちょーっと待ってよ二宮サン! さっきの言い間違いでしょ、逆だよね?」
渇いた笑いを浮かべながら加賀武志は言う。正直僕も同じことを思っていた。
だが二宮さんはしっかり首を振った。
「いいえ。加賀武志様が 十四。
そして、高橋晴也様が 二億二千。でございます」
変な沈黙が流れた。声すら出せず、ただ二宮さんの曇りひとつない眼鏡の縁をぼうっと眺めている。
二億、だって? 僕が?
「そ、そんなわけないだろ、俺のは何かの間違いだって!」
真っ赤な顔をした加賀武志が二宮さんに詰め寄った。
「お、俺は友達もめちゃ多いし! 彼女だって三人いて俺にメロメロだったし! 親だって好きにさせてくれてたし……!」
「いいえ、こちらに計算ミスはございません」
「そんなバカなことあるかって!!」
「ではご自分の目でお確かめください」
最初のコメントを投稿しよう!