婚約破棄されまして……

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婚約破棄されまして……

 私レイシル・フォワードは公爵令嬢だった。 『だった』と言うのは今は平民である。  と言うのも私は数年前に婚約破棄をされ更に勘当されたのだ。  余りにもベタな内容だったので簡潔に説明すると、婚約者だった王太子が『真実の愛』に目覚め私が真実の愛の相手である男爵令嬢を苛めたとかで卒業記念パーティーの場で断罪され、親は今後の事を考えて私を切り捨てた。  この間、私が意見を言う機会は一切無し。  問答無用で追い出され私は国の外れの荒地に放置されてしまった。  持たされた荷物は数日分の食料のみ。  つまりは『の垂れ死ね』と言う事だろう。  しかし、意地の悪い私はそう簡単にの垂れ死ぬ訳には行かなかった。  奴らは私が『創造』スキル持ちである事を忘れていたのだろう。  私は自らのスキルを使って家を建て畑を作り現在に至る。  その間、此処に誰一人来る事はなかった。  私はもういない者と思ったんだろうな。  まぁ、私も関わりたくないし別に構わないけどね。  今日も出来た野菜を近くの村まで売りに行き行きつけの食堂で新聞を見ながら食事をしている。 (へぇ、王都では疫病が流行っているのね)  王都を離れて3年が経過し私も21歳になった。  すっかり平民暮らしに慣れてしまい貴族だった頃なんて忘れてしまった。  3年も経てば世の中は様変わりする。  王都では疫病が発生し大変な事になっているらしい。 (まぁ、王族が現状を無視して税金上げて整備も出来ていない訳だし当然の結果よね)  私がこの地にやってきて1年後位に国王が亡くなり王太子が即位した。  が、私の記憶だと成績がイマイチな新国王がいきなり国政が出来る程世の中甘くはなくほぼ甘い蜜を吸いたい貴族達の言いなり状態。  王妃になった男爵令嬢は贅沢三昧な暮らしをしており国王はそれを許している始末。  まともな貴族はさっさと見切りをつけて離れて言った。  そんな訳で経済は悪化したんだけどそれでも国王は気づく事なく税をあげる。  だんだんと国民達も離れて行ってしまい王都はかなり寂しい状態になっている。  新聞には『地方の貴族達がクーデターを起こす準備をしている』と書いている。  こうして記事が出る、と言う事はほぼ確実なんだろうなぁ……。    
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