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元公爵令嬢、憂う
食事をした後、野菜を売ったお金で調味料などの生活用品を買って家に帰ってきた。
「物価も前より上がってきたわねぇ……」
買って来た物を見ながら私はため息を付いた。
この3年で物価は倍以上に上がった。
「調味料も自給自足していかないとダメになるかもしれないわね」
それぐらい現在、この国の経済は崖っぷちに立たされている。
王都から離れた田舎にも影響が出ているのだからきっと王都はもっと悲惨な事になっているだろう。
「本当にいつか暴動が起こりそうな気がするんだけど」
私の脳裏にはそんな姿がよぎっていた。
「まぁ、私には関係ないわね。私が忠告しても無視されていたからね」
国王は都合のいいことにしか聞かないタイプだ。
きっと今の状況も彼の耳には入って来ていないんだろう。
私が口煩く言っても右から左へと流されていたからこっちもやる気だってなくす。
「昔はああいう性格じゃなかったのにね、なんでこうなったんだろう……」
身近で彼が変わっていく姿を見て私は悲しさとか虚しさを覚えた。
きっかけは間違いなくあの現王妃だと思う。
彼女が入学して彼に近づいてから変わってしまった。
そりゃあ文句の一つや二つは言ったし彼女の事も調べようとした。
でも、手遅れだった。
気がついた時は私は悪役にされていたのだ。
今更公開しても遅いしもう感情なんてなんにもない。
今はただの平民として暮らすだけなのだ。
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