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イニシアティブ
「先輩…」
総領の声で真壁はふと我に帰る
彼と過ごした時間が一瞬で終わったかのように現実に戻された感覚
あの旅行で前進したのは高杉からの合鍵
今は僕の鍵の隣に彼の合鍵が並んでいる
それだけでも未来を彼との感じてしまう
高杉に抱かれながら何度も囁かれた
「お前って本当、、相変わらず可愛いワンコだな」
の言葉がまだ耳のそばで囁かれているような気がして胸が熱くなる
コーヒーを買いに廊下出ると、高杉と田辺が話しこんでいる
気まずいと思って咄嗟にフロアーに戻ろうとすると高杉の声がする
「真壁!来いよ」
彼が走って真壁の腕を掴み、近くの会議室に3人で入る
「田辺…俺は真壁流星と付き合っている、他の誰かとも付き合う予定もない、申し訳ない」
高杉は田辺に頭を下げる
「僕は彼のこと好きで誰にも渡したくない、田辺さん…ごめんなさい」
真壁も頭を下げる
「飛んだ茶番ね!」
田辺は呆れた顔で会議室を出る
高杉と真壁は2人で顔を合わせて笑う
真壁は高杉に抱きついた
「めっちゃクチャ嬉しい…益々高杉さんの事好きになった…僕のためにありがとう」
真壁は素直な気持ちでお礼を言う
「今日の帰り…寄りたいところがあるから一緒に付き合ってくれないか?」
高杉は珍しく恥ずかしそうに真壁を誘う
真壁は子犬のように何度も頷く
夜景を見ながら高杉と買い物をして、ホテルの上層階にあるレストランでディナーを取る
真壁の手に小さな手提げの紙袋が握られていた
食事が終わった2人は高杉の自宅に向かう
玄関前に立って高杉は真壁に微笑む
「お前が扉を開けて欲しい」
真壁は恥ずかしそうに鍵入れを取り出し、扉の鍵を開ける
玄関に入ると、高杉はすぐ真壁を抱きしめキスをする
2人は何度も息ができないほどキスをし続けた
高杉は真壁を抱き抱えると寝室のベットに寝かせる
高杉は小さな手提げの紙袋から小箱を取り出し、中からリングを出す
「流星、お前が好きだ」
高杉は緊張しながらもゆっくり左の薬指にリングを通した
「隼人…愛してます」
真壁は真っ赤な顔で汗でずるずるになった指先で左の薬指にリングを通す
指輪をした手を2人は絡ませキスをした
永遠に外れない
外さないと愛を誓う
お前は俺のもので
俺はお前のもの
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