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シュルルル… 布の擦れるような音。
素早い動きで、目元を布らしきのもので塞がれ、手足を縛られ、ゴロンと床に転がされる
… なに… 誰なの… … 誰…
「二度は言わない。有り金…いや…当選したくじを、出せ…」
「 … 」
「チッ… もう一度言う。当選した宝くじを出せ…場所はどこだ…」
…え…
固まったままでいると、首筋に冷たい何かが、ひたりと…触れる。
刃物だ…
「三度目はねえぞ…今すぐ、くじのありかを言うんだ…さもないと…」
「おまえの命はない…金か…自分の命か…10秒以内に答えろ…」
「ひっ…ィ…」
ダメだ…言わないと…きっと、殺される…この男は本気だ…
命 … お金 … 命 …お金… … あぁ
男のカウントダウンが始まる…
低い声だ… あ… あ…
「10… 9… 8… 7 … 6ぅ… 5ぉ… よ…」
「べべべ… !!」 …口がもつれる…
「べべべ…?? なんだ…そりゃ… 」
「ベッド…マットの…下 ベ…ベッドの、下ぁ…」
「…おい… すぐに、その場所を確認しろ…」
男が誰かに、指示を出す。
「はい」 …バタンとひっくり返すような音がして、
「ああ…あります…!… ありますよ…すげ~」
「よし…よく言ったな… 金より命… 正しい選択だ…」
「おい…おまえ、同棲していた彼氏みたいのがいたな…今日は…?」
全て、知られているようだ
ずっと、見張られていたのかもしれない…
「はい…7時に… 来る予定… で…」
「…おまえ、俺たちが来たことを絶対に誰にも言うなよ…この後警察に通報もするな…命だけは助けてやる。もし、通報でもしたら…すぐに俺らはおまえの息の根を止めに来る…街中、どこでもおまえを見張っているから…いいか、わかったな…今からお前の拘束は解くが…俺たちがドアを開けて外に出てからも…10分はその場所を一歩も動くな… 目も閉じたままだ… タイマーをかけておく…後はその彼氏とやらと会って、何事もなかったかのように食事なり激しいセックスなり、いつも通り楽しめばいいさ…なにせ、世の中、金だけじゃねえ… 命あっての、物種だろ… くくくっ… 」
「… …」
恐怖で言葉も出ない…
もう…何もかも終わりだ…
私は…
終わった…
「…返事は…?」
また首筋に冷たい刃物の感触…ビクンと震える。
「おい…聞いているのか…俺たちは本気だ…返事は…?」
「はい…わかり…ました…絶対、絶対誰にも…言いません…」
「よし…おまえは利口だ」
そう言って男たちは…私の手足の拘束を解き…数分後、やっとバタンと
ドアが閉じる…
私は約束通り、身動きをせずにいた…
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