どこかの鬼

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どこかの鬼

 とある書庫にて一人の鬼がある書物を手に取った。 そして、そこ記されているものを読んでいるととても悲しそうな表情を浮かべていた。 彼の生きた物語はこの一冊に全部収まっている。  この《場所》において彼のような人間は初めて見たからだ。さらに自分ですら感じたことがない胸の痛みも。 「貴方の苦しみ……教えて」  未だに彼女は序章辺りで踏み留まっている。 彼が犯した罪は生易しいものではなかった。 ーーー彼が気づこうとしていないことをーー ー彼がーーーーーーー……。
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